2026/1/30
教師のお仕事
小学校英語教育の今とこれから|必修化から見える英語専科教員の重要性

目次
小学校英語教育の必修化とは?背景と目的
2017年に告示された新学習指導要領が、移行期間を経て2020年度から全面実施されました。
この教育改革の大きな柱の一つが「小学校英語教育の必修化」です。
なぜ小学校で英語が導入されたのか
日本では長年、中学校・高校を中心に英語教育が行われてきましたが、国際的に比較すると十分な成果が出ていないのが現状です。実際、TOEFL iBT®の最新のスコアデータ(Test and Score Data Summary 2023)では、日本人受験者の平均スコアは73点と、世界平均の88点を依然として大きく下回っています。
このようなデータからも、“受験のための英語学習”から脱却し、実際に使える英語力を育てる必要性が改めて浮き彫りになっています。
一方、タイ、韓国、中国等のアジア諸国では、90年代からすでに小学校段階での英語教育は国家戦略として進められていました。こうした国際的な流れと比較すると、日本は初等段階の英語教育で後れを取っていたといえるでしょう。
つまり、日本の小学校英語は「国際基準に追いつくため急速に整備された」という背景があります。そのため、現場の教員たちには短期間で高い指導力が求められるようになり、今、そのサポートができる人材が切実に求められているのです。
■参考文献
・ETS “TOEFL iBT® Test and Score Data Summary 2023”
学習指導要領改訂に伴う「外国語活動」から「教科」への変化
実践的な英語力を身につけるために、英語教育の早期化や授業時数の増加のほか、指導内容の刷新が進んでいます。現行の学習指導要領に沿って、現在行われている英語教育の内容を解説します。
■参考文献
・文部科学省「【外国語活動・外国語編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説」(P29~/P78~)
3・4年生:年間35単位(週1コマ)の「外国語活動」
中学年では、「英語に慣れ親しむこと」を目的に、年間35単位(週1コマ程度)の外国語活動が実施されています。
授業では、
● 歌・クイズ・ゲーム・ダンスなどの活動型学習
● “聞く・話す(やり取り・発表)”が中心
● コミュニケーション体験が主体
といった体験的な活動が多く、コミュニケーションを楽しむ気持ちを育てながら、これから始まる本格的な学習につなげていく段階です。
授業は基本的に学級担任が担当します。
5・6年生:年間70単位(週2コマ)の「教科」としての英語
高学年では英語が“教科”として扱われ、年間70単位(週2コマ程度)に増加します。中学年より学習内容が大きくステップアップするのが特徴です。
「聞く・話す」に加えて「読む・書く」が本格的に導入
従来は中学校で扱われていた内容の一部も小学校へ移行し、
● 疑問詞
● 助動詞
● 代名詞
● 動詞の過去形
● 300~600語の語彙習得目標
など、言語としての英語の基礎を体系的に学びます。
教科書の使用と成績評価
“教科”となるため、
● 文科省検定の教科書を使用
● 通知表に成績がつく
という点が大きな変化です。
専科教員やALTとの協働授業
高学年の授業では、
● 英語専科教員
● ALT(外国語指導助手)
● 学級担任
がチームで指導にあたる形が推奨されています。これにより、より自然な英語に触れながら、聞く・話す機会が増える点が特徴です。
■参考文献
・文部科学省「【外国語活動・外国語編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説」
ねらいは「小・中連携」と“使える英語力”の育成
現行指導要領の大きな狙いは、小・中学校の英語教育を一貫させ、学びのギャップをなくすこと。
中学年で慣れ親しみ、高学年で読み書きを含む体系的な学習を行うことで、“実際に使える英語力”を段階的に伸ばす設計になっています。
小学校英語の現状と成果(2025年最新データ)
「英語を使う活動」が定着する一方で、準備の負担も

文部科学省の最新調査では、小学校の90%以上の学校が、英語の授業時間の半分以上を言語活動に充てていることが示されています。特に第5・6学年では、授業の半分以上を言語活動にしている学校の割合が、
● 全体:94.4%
● 第5学年:94.1%
● 第6学年:94.6%
と、ほぼすべての学校で「英語を使う活動」が日常的に行われている状況です。
さらに、言語活動の時間のうち、約半分を「話すこと」に充てており、小学校段階では会話や発表などの「話す活動」を中心としたコミュニケーション重視の授業づくりが定着していることが分かります。
また、都道府県別に見ても、授業時間の半分以上を言語活動に充てている学校の割合は多くの地域で90%前後~100%近く、地域差が比較的小さい点も特徴です。
「話す力」を測るパフォーマンステスト実施率はほぼ100%
知識だけでなく、「実際に英語で話す力」を測るためのパフォーマンステストも、小学校で広く行われています。ここでいうパフォーマンステストとは、自己紹介や簡単なスピーチ、ペアでのやり取りなど、英語で話す活動そのものを通して児童の力を評価するテストのことです。
小学校では、「話すこと」を評価するパフォーマンステストの年間実施回数の平均は7.9回(第5学年:7.6回、第6学年:8.1回)となっており、年間を通して繰り返し「話す力」を確かめる機会が設けられています。
さらに、第5・6学年で「話すこと」のパフォーマンステストを実施している学校の割合は、全国平均で97.1%です。ほとんどの小学校が、知識だけでなく“話せるかどうか”を評価に組み込んでいることが分かります。
ALTの活用
文部科学省の調査によると、小学校の英語授業には、ほとんどの学校でALT(外国語指導助手)が参画しています。
英語の総授業時数のうち、ALT等が参画する時間の割合を見ると、ALTがまったく入らない学校はわずか1.9%。授業時間の半分以上にALTが入っている学校は、合わせて約7割となっています。このことから、全国的にALTが日常的な存在になっていることは明白です。
さらに、ALTがどのような場面で関わっているかを見ると、小学校では、
● 教師とのやり取りや発表のモデル提示:97.5%
● 児童のやり取りの相手役:97.6%
● 発音のモデル・発音指導:97.5%
● 児童の発言に対するコメント・フィードバック:89.2%
● パフォーマンステスト等の補助:75.1%
など、ほぼすべての学校でALTが「聞く・話す活動」の中心的な役割を担っていることが示されています。
こうしたデータから、小学校英語ではALTが、
ネイティブに近い発音や表現を示す「モデル」として
児童の英語に対して即時に反応し、フィードバックを返す「対話の相手」として
継続的に関わっており、児童が実際に英語でコミュニケーションを図る力を伸ばす上で重要な存在になっているといえます。
■参考文献
・文部科学省 令和5年度 「英語教育実施状況調査」 概要
学校現場で見えてきた課題と今後の方向性
ICTやAIの活用と担任の負担増
現行の学習指導要領のもとで、小学校の英語授業はICTを前提とした授業づくりへと大きく変化しています。文部科学省の最新調査では、英語の授業で、
● 児童が学習者用デジタル教科書を活用した授業:小学校で82.1%
● 児童がデジタルドリルや動画などのコンテンツを活用した授業:78.7%
● 児童が1人1台端末を活用した授業:96.4%
● 1人1台端末やパソコンを使って発表や「話すこと」のやり取りを行う活動:88.9%
● 発話や発音などの録音・録画:69.6%
● キーボード入力による「書く」活動:71.6%
と、ほとんどの学校でICT機器を使った英語学習が日常化していることが分かります。
一方で、遠隔地の児童生徒と英語で交流する活動(12.9%)、ALT等とオンラインでティーム・ティーチングを行う授業(7.0%)、英語に堪能な人とのオンライン個別会話(5.2%)など、オンラインならではの学びはまだ一部にとどまっているのが実情です。
今後は、こうしたオンライン交流やAIドリル・自動音声フィードバックなど、ICTの先にあるAI活用をどう授業に組み込むかも、現場の大きなテーマになっていくでしょう。
さらに、中学校との連携も強く求められています。調査によると、小学校との連携に取り組んでいる中学校は82.8%(前年度比7.3ポイント増)にのぼります。連携の内容としては、
● 授業進度や年間指導計画などの情報交換:74.8%
● 指導方法についての交流や、移行期の指導の工夫に関する打ち合わせ:52.5%
● 小中連携したカリキュラムや学習到達目標の設定:27.6%
と、情報共有だけでなく、カリキュラムレベルでのすり合わせに踏み込む学校も増えています。
このように、小学校の担任は、
● デジタル教科書や1人1台端末を活用した授業設計
● パフォーマンステストを含む評価方法の工夫
● 中学校との進度・評価観点・カリキュラムの調整
といった業務を並行して担う必要があり、英語+ICT+校種間連携を一手に引き受ける負担は年々大きくなっているといえます。
専科教員の配置率
英語教育の重要性が増す中、学級担任だけで授業を支えるのは難しくなってきており、専科教員へのニーズも一段と高まっています。

文部科学省の調査によると、小学校全体で英語を担当している教員の内訳は、
● 学級担任が担当:54.1%
● 当該小学校所属の専科教員:22.9%
● 同学年・他学年の学級担任による授業交換:10.1%
● 他校所属教員・非常勤講師など:残り約1割強
となっており、半数強はいまだに学級担任が英語を兼任している状況です。
学年別に見ると、その傾向はよりはっきりします。
● 第3・4学年
○ 学級担任:60.7%
○ 当該校の専科教員:20.0% → 約4割が「学級担任以外」による授業ですが、6割は担任が英語も兼ねていることが分かります。
● 第5・6学年 ○ 学級担任:47.3%
○ 当該校の専科教員:25.8%
○ 同学年・他学年の学級担任(授業交換):10.4%
○ 他校所属教員・非常勤講師など:合わせて約16%
高学年になると学級担任以外の教員が担当する割合は増えるものの、「英語を専門とする専科教員」が授業を行っているのは4分の1程度にとどまっています。つまり、英語の授業は依然として「担任もしくは学年・学校間のやりくり」で成り立っている学校が多いということです。
一方で、中学校・高等学校の英語免許状を持つ小学校教員の数は年々増加しており、令和5年度には約2万5千人に達しています。しかし、全国の小学校教員全体から見るとまだ一部にすぎず、「英語を専門に教えられる人材は増えつつあるが、各学校に十分行き渡っているとはいえない」というギャップが残っているのが現状です。
これは裏を返せば「英語指導ができる人材の希少価値が高まっている」ということでもあります。学級担任が手一杯になっている今、英語の授業を一手に引き受けられる専科教員は、現場の先生たちから「本当に助かる」と感謝される存在です。学校側も質の高い授業を求めており、英語専科教員への期待はかつてないほど高まっています。
■参考文献
・文部科学省 令和5年度 「英語教育実施状況調査」 概要
注目される「英語専科教員」という働き方

小学校英語の必修化と授業時数の増加、担任の負担増により、英語専科教員のニーズは年々高まっています。ここでは、英語専科教員として小学校の英語教育に関わる主なルートを紹介します。
1.教員免許を取得して公立小学校の「専科教員」として働く
公立小学校で「教員」として英語を担当する場合、基本的には小学校教諭免許状が必要です。
また、「英語専科教員」として働く場合には、小学校教諭免許状に加え、中学・高校の英語科免許状が求められるケースが多いです。
近年は、大学の教職課程でも「外国語(英語)の指導法」や「英語に関する専門的事項」が必修となり、新しく免許を取得する場合は、学生の段階から英語教育について学ぶようになりました。
そのため、
● 小学校教諭免許を持つ教員が、高学年の英語を専科で担当する
● 中学校・高校の英語免許を持つ人が、小学校で英語専科として採用される
といった形で、「英語に強い教員」が小学校現場に配置されるケースが増えています。
また、一部の自治体では、特別免許状・臨時免許状などを活用し、通常の教員免許を持たないものの、一定の英語力や指導経験がある人材を英語専科として採用する取り組みも行われています。
2.J-SHINE資格を取得して「英語指導者」として働く
「教員免許は持っていないけれど、英語力や指導経験を生かして小学生の英語教育に関わりたい」という人の入り口として、今もよく利用されているのがJ-SHINE(小学校英語教育推進協議会)の民間資格です。
J-SHINEは、小学生に英語教育を行う指導者を認定する団体で、子どもへの英語指導に必要な知識・技能・指導経験を持った人に資格を付与し、教育現場に送り出す役割を担っています。
資格区分は6種類あり、代表的なものは次の3つです。
● 小学校英語準認定指導者(準資格):指導経験が50時間に満たない段階の資格。講座の修了と試験合格で取得可能。
● 小学校英語指導者(正資格):50時間以上の指導経験があり、小学校英語の指導者として必要な知識・技能を備えていることを示す基本資格。
● 小学校英語指導者+(プラス):正資格に加え、CEFR B2レベル以上の英語力と指導経験を持つ人に与えられる上位資格。
資格取得のためには、J-SHINE認定団体が実施する講座を受講し、模擬授業・指導実習などを通してスキルを身につけた上で、一定時間以上の指導経験を満たす必要があります。
J-SHINE資格保有者は全国で約3万5000人とされており、公立小学校では「外部講師・非常勤講師」として授業に入り、評価や成績処理は担任が行う“サポート役”として、民間の英会話スクール、学童保育付き英語教室などでは、講師として活躍するケースも見られます。
■参考文献
・J-SHINE「2025年パンフレット」
理想の職場に出会うために。「教育専門エージェント」という選択肢
小学校で英語を教える働き方に関心があるなら、「どのスタイルで教えたいか」「公立か私立か」「常勤か非常勤か」など、自分のイメージを具体化していくことが大切です。
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イストEMPS活用のメリット
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● 採用率アップの対策:独自の「模擬授業トレーニング」が受けられる
「自分だけで探すのは不安」「まずはどんな求人があるか知りたい」という方は、ぜひプロの力を借りてみてください。
まとめ|英語専科教員として、教育の現場に新しい風を。
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