大学に通う以外の教員免許の取り方
教員になるために必要な教員免許は、「大学や短大に通わないと取得できない」と思っている方が多いのではないでしょうか。実は、教員としての資質や能力があると認められる場合には、大学に通う以外の方法でも教員免許は取得することができます。ここでは、教員を目指している大学生の方はもちろん、社会人や高卒の方でも可能な「教員免許の取り方」について解説していきます。
- 目次
【社会人でも取得可能】教員免許の取り方とは?
教員免許を取得するには、以下の3つの方法があります。
- 教員資格認定試験で教員免許を取得する
- 特別免許状を取得する
- 大学や短期大学などで教員免許を取得する
それぞれどのような方法なのか、順番に解説していきます。
教員資格認定試験で教員免許を取得する
教員免許を持っていなくても、「教員資格認定試験」に合格すれば、教員として働くことが可能になります。教員資格認定試験は、大学等で教員養成のコースを受けていなくても、意欲や能力がある人が教育現場で働ける機会を提供するために、文部科学省が年に1度実施している試験です。
教員資格認定試験には、「幼稚園教員資格認定試験」、「小学校教員資格認定試験」、「特別支援学校教員資格認定試験」の3種類があります。
幼稚園教員資格認定試験
「幼稚園教員資格認定試験」は、幼稚園と保育園の連携を促進させるために、保育士として一定の勤務経験を持つ人が、幼稚園教諭免許状を取得する方法としておこなわれる試験です。幼稚園教員資格認定試験を受験するには、高校を卒業後、保育士となる資格を取った後に、以下の1〜3のいずれかに該当する者として「3年以上」勤務する必要があります。
- 幼稚園(特別支援学校の幼稚部を含む)において、もっぱら幼児の保育に従事する職員
- 幼保連携型認定こども園において園児の教育および保育に従事する職員
- 児童福祉施設や認可外保育施設などの保育士
上記の受験資格を有する人は、以下の内容の試験を受けることができます。
科目名 | 内容 | 試験方法 |
---|---|---|
教科および教職に関する科目(Ⅰ) | 教育原理や教育制度など | マークシート方式 |
教科および教職に関する科目(Ⅱ) | 保育内容の指導法や幼児理解など | マークシート方式 |
幼稚園教育の実践に関する科目 | 幼稚園教育指導資料と指導案の作成 | 筆記試験(論述式) |
試験の結果は、独立行政法人教職員支援機構から後日郵送で知らされます。試験に合格すると、都道府県教育委員会に申請することで、幼稚園教諭の二種免許状を取得することができます。
小学校教員資格認定試験
「小学校教員資格認定試験」は、大学や短大で教職課程を修了していない人でも、小学校の教員になれるように文部科学省が毎年実施している認定試験です。
受験資格は大学を卒業した者および満20歳以上で「高等学校を卒業した者、その他大学(短期大学及び文部科学大臣の指定する教員養成機関を含む。) に入学する資格を有する者」で、試験は「第1次試験」、「第2次試験」、「指導の実践に関する試験」の3つに分けておこなわれます。
第1次試験の科目名 | 内容 | 試験方法 |
---|---|---|
教科および教職に関する科目(Ⅰ) | 教育の基礎的理解や道徳の指導法など | マークシート方式 |
教科および教職に関する科目(Ⅱ) | 小学校の各教科の指導法や基礎的な教科内容、具体的な授業場面に即した内容 | マークシート方式 |
教科および教職に関する科目(Ⅲ) | 小学校の各教科の指導法や基礎的な教科内容 | 筆記試験 |
教科および教職に関する科目(Ⅳ) | 教職や児童への理解、教員として必要な能力に関する事項 | 筆記試験 |
第1次試験に合格した人は、2次試験として「指導の実践に関する試験」を受けます。
内容 | 試験方法 |
---|---|
小学校教員として必要な指導の実践に関する事項 | 授業観察、指導案等作成、討論等 |
「指導の実践に関する試験」の合格者は、都道府県教育委員会に申請することで、小学校教諭の二種免許状を取得することができます。
特別支援学校教員資格認定試験
「特別支援学校教員資格認定試験」は、障がい者教育の教員を目指す人のための認定試験です。
受験資格は大学を卒業した者および満22歳以上で「高等学校を卒業した者、その他大学(短期大学及び文部科学大臣の指定する教員養成機関を含む。)に入学する資格を有する者」で、試験は「第1次試験」と「第2次試験」に分けておこなわれます。
第1次試験の科目名 | 内容 | 試験方法 |
---|---|---|
教職に関する専門的事項に関する科目 | 教職に関する専門知識 | マークシート方式 |
自立活動に関する科目(Ⅰ) | 特別支援教育や自立活動に関する知識 | マークシート方式 |
第1次試験に合格した人だけが、第2次試験を受けることができます。
第2次試験の科目名 | 内容 | 試験方法 |
---|---|---|
自立活動に関する科目(Ⅱ) | 当該種目に関する専門事項 | 筆記試験(論述式) |
自立活動に関する科目(Ⅲ) | 当該種目に関する専門事項 | 実技試験 |
口述試験 | 自立活動担当教員として必要な能力全般 | 口述試験 |
第2次試験に合格すると、受験した種目に応じて特別支援学校自立活動教諭の一種免許状が授与されます。この免許状を持っている人は、特別支援学校および特別支援学級で、視覚障害者または言語障害者の自立活動のみを担当することができます。
特別免許状を取得する
「特別免許状」とは、教員免許を持っていないものの優れた知識や経験を持っている社会人を教員として採用することで、学校教育の多様化・活性化を図る目的で導入された制度です。特別免許状は、都道府県教育委員会がおこなう「教育職員検定」を受けて合格をすると授与されます。
取得できる免許状の種類
特別免許状制度で取得できる免許状と、対象となる科目は以下の通りです。
免許状の種類 | 対象教科 |
---|---|
小学校教諭特別免許状 | 全教科 |
中学校教諭特別免許状 | 全教科 |
高等学校教諭特別免許状 | 全教科 |
特別支援学校教諭特別免許状 | 自立教科(理療、理容、自立活動など) |
表からもわかる通り、特別免許状制度が対象になるのは小学校、中学校、高等学校の全教科と、特別支援学校の自立教科になります。なお、授与された免許状は授与を受けた都道府県においてのみ「10年間」有効です。
夜間・通信大学や短期大学などで教員免許を取得する
大学(夜間や通信制を含む)や短大で教職課程を修了し、「普通免許状」を取得する方法です。一般的に「教員免許の取り方」といえば、まずこの方法を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
普通免許状の取得方法
教員の免許状には「普通免許状」、「特別免許状」、「臨時免許状」の3種類があります。そして、普通免許状を取得するには、原則として大学や短大で教職課程を修了する必要があります。
すでに大学を卒業している社会人の方が普通免許状を取得するには、大学に再入学して教職課程の単位を修得するか、大学には入学せずに特定の科目だけを履修する「科目等履修生」になる選択肢があります。
社会人や高卒の方でも教員免許は取得できる
教員免許の取り方について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。教員免許は大学や短大に通わないと取得できないと考えている方もいらっしゃるようですが、「教員資格認定試験」や「特別免許状」などの制度を利用することで、社会人や高卒の方でも教員になれることがおわかりいただけたのではないでしょうか。
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■参考文献
・文部科学省「教員資格認定試験」
・文部科学省「特別免許状制度」