教員の転職は難しい?
転職市場という言葉が定着して、民間企業に勤めている人の転職は今では珍しいことではなくなりました。
それでも、一般の社会人と比べるとビジネス経験のない教師や教員から民間企業への転職は難しいと言われています。
本記事では、実際に教員から転職を実現した方の体験談を織り交ぜながら、教員・教師が他業種へ転職する際に覚えておきたいポイントを解説し、教員免許や経験を活かせる業種・職種例を紹介していきます。
- 目次
教員の転職が難しい3つの理由を解説
教職を辞めるとその後の転職が難しいといわれる原因を探っていくと、3つの理由が見えてきました。一つずつ解説します。
公務員の給料がほかの職種よりも高い
あくまで同年代の民間企業に働く人の平均と比較した場合ですが、年収だけなら地方公務員である教師・教員のほうが高くなっています。
文部科学省の「平成28年度 学校教員統計調査」によれば、小学校教諭の平均年収は約554万円、国税庁の「平成30年分民間給与実態統計調査結果について」によれば、民間の平均年収は441万円という調査結果からも、はっきりしています。
ビジネス経験が乏しいと判断されることもある
一般的な民間企業の就活を経ていないので、エントリーシートや履歴書を書いた経験自体がないという教員も少なくありません。
また、学校生活で出会うのは教員ばかりなので、自己分析や自己PRをする機会が乏しく、担当科目やクラス担任の経験以外の自分の強みは何なのか、どういった分野で発揮できるのか、転職活動をして初めて考えるという人も少なくありません。
そういった背景や、数字や結果を追求した経験がないということで企業からは「スキルが足りない」と評価され、転職の際に不利になってしまうことが現実としてあります。
まずは、「自分の良さを売り込む」というアクションが、教員から異業種へ転職しようとする人の最初の壁となります。
担任などの関係で転職の時期が限られてしまう
日本の学校は学期制で、4月から次の学年がはじまるという業務スケジュールのため、現職の教員は年度の途中で転職がしづらいことも理由の1つです。
特に担任を受け持っている場合は、容易に退職できません。
また、企業の中途採用は、新卒採用と異なり、毎年4月に必ず採用枠があるといったことはなく、多くができるだけ早く来てほしいという募集となります。そのため、スキルや人柄がマッチしていても「タイミングが合わない」というケースが多く発生します。
また、年度の変わり目になる3月~5月は転職希望者も多く、倍率が比較的高くなるため希望の職に就ける難易度は上がります。
教員がほかの業種へ転職しやすくなるポイント
本項ではこれから転職を考えている教員向けに、ほかの業種へ転職をする際に気を付けるべきポイントを中心に解説してきます。
教員免許・教育現場経験が有利になる職種を探す
まずは、これまでの教員生活での経験と、教員になるために懸命に勉強して取得した教員免許が有利になる職種から探してみましょう。
学校の常勤講師や非常勤講師、塾講師や家庭教師、教育関連企業の営業や事務職などはすぐ思い浮かぶと思いますが、それ以外にも児童指導員、児童発達支援管理責任者など、福祉の領域で児童に関わる仕事でも教職経験者の需要があるようです。
民間企業におけるマナーや仕組みを理解しておく
民間企業であれば新卒研修などで、社内のコミュニケーション方法、上司・先輩への報告・相談のしかたなどを習得する機会があります。
しかし、中途採用の場合ビジネスマナー等は理解している前提で採用するかどうかを判定されます。
不安であれば民間のビジネスマナー研修などを利用する方法もあります。
オンラインでの受講が可能なところも多いようです。
職務経歴書の自己PRの書き方を工夫する
民間企業の中途採用は、ほぼ経験者採用であり即戦力となってくれる人材を求めています。
これまでの教員としての経験を振り返りつつ、企業が求めているスキルや適性に合致した要素を見極めてアピールすることが求められます。
転職エージェントを利用すれば職務経歴書の書き方や自己PRポイントの整理などを手伝ってくれるので、不安な方はそういったサービスを利用してもいいでしょう。
転職するタイミングはなるべく早めに
転職市場は非常に流動的です。前任者の退職にともなう公募などすぐに働ける人を求めている募集も多く、教員の年度にあわせてくれることはほぼないと考えた方がよいでしょう。
退職時期を明確にしたうえで、早くから動き出すことをおすすめします。転職エージェントに登録して面談等を行えば、いつまでに何をすべきか、用意しておくべきかといったスケジュール感をアドバイスしてくれます。
自分に合った職場や仕事は、自分から動いた分だけ確率が高くなることを意識しておきましょう。
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転職先おすすめ6選
教員免許を活かせる職種
せっかく転職するのなら、これまでの教師や教員としての経験や教員免許が活かせる職種がおすすめです。
教員の転職先おすすめ6選を紹介します。
非常勤講師や教員
引き続き教える側に携わりつつ、スキルアップや生活スタイルに合った勤務体系を実現したい方に適しています。
講師の種類としては以下のようなものがあります。
職種 | 仕事内容 |
---|---|
常勤講師 | 産休や病欠になった教員の代打要員として、正規の教諭と同じように働きます。 |
非常勤講師 | 常勤講師と異なり、自分の担当する授業のみ稼働します。 |
特別支援教育支援員 | 特別支援級の障害を持つ子供たちのサポートを行う仕事です。 |
学童スタッフ | 放課後や休みの日に小学生を預かる学童サービススタッフです。 |
教育分野における事務職
塾や予備校などの事務スタッフや教育関連企業の営業事務などが人気です。採用時に教員免許状の資格により優遇される職場もあります。
仕事内容は、電話応対や来客対応をはじめ、契約書などの各種書類作成やデータ入力・資料整理などが主たる業務となります。事例で紹介している営業事務では、営業が部署の目標を達成した際には営業事務スタッフにも目標達成休が付与されるなど、休日が教員よりも取得しやすいのも魅力です。
教育分野における営業職
教室運営や教材販売など教育関連企業での営業職も人気があります。例としてあげている教員の転職支援を行うマッチング型の転職エージェント会社も、元教員で中途入社した方が多く活躍しているようです。
学校や教室とは違う形になりますが、人に直接喜んでもらえる仕事にやりがいを感じる方に適しています。
家庭教師
個人の成績アップや志望校への合格を支援するのが家庭教師です。子どもや保護者に対応するというスキルはそのまま家庭教師業においてもいかすことができます。生徒の成績を上げる、志望校に合格するという明確な成果を追求する指導になりますので、そこが学校とは異なってきます。
教員から家庭教師になった場合、月収17~25万円程度、年収300万円~からのスタートが相場といわれていますが、人気講師になればそれ以上の収入を実現することも可能です。
個別指導塾の講師
塾講師や家庭教師に似ていますが、個別指導塾では、生徒一人もしくは二人に対し先生が一人で授業を行います。生徒に付きっきりで指導し、その生徒の担当講師となり全教科を教え、さらに進路相談などを任されるケースもあるようです。
クラス担任を経験した方なら、やりがいのある仕事ですが、通常の塾講師と同様に成績アップや志望校合格というシビアな結果を出すことが常に求められます。
児童支援員や学童保育員
放課後児童支援員は、2015年度より新設された、学童保育の指導のための専門資格です。学童保育施設(「学童クラブ」「放課後クラブ」「学童保育所」などと呼ばれます)には1名以上の放課後児童支援員を配置することが義務付けられています。
施設は小学校の敷地内に放課後の児童のための部屋が確保されているか、近くの児童館などに学童クラブが併設されている場合がほとんど。児童支援員や学童保育員は、学校が終わって通所してきた児童が、遊んだり宿題をしたりするのを見守り、安全を確保することが仕事です。
学童保育と学習塾の両方を提供している民間施設(※)もあります。
EMPS会員の転職成功の体験談を紹介
転職をすることで後悔はしないか不安に感じている方も多いかと思います。
ここからは、私学の教員や、塾講師や予備校講師など、教育関係への就職や転職を希望している「EMPS(イーエムピーエス)」 の会員から寄せられた体験談を紹介します。
新しい環境への転職を目指す皆様の不安を少しでも払拭できれば幸いです。
キャリアが認められ見事好条件の職場へ転職できた
バイト時代から数えて5年以上も働いているのに、私の給料はほとんど上がりませんでした。経験的にも年齢的にも「キャリアアップしたい」「もっと認められたい」と日増しに思うようになりEMPSに講師登録をしました。
「あなたのキャリアなら、もっといい雇用条件の塾はたくさんあると思いますよ」
登録会の個人面談で、コーディネーターさんが言ったそのセリフを聞いた時、私は自分の選択が間違ってなかったことを確信し、同時にEMPSがものすごく頼もしい存在に感じられました。
それから数日後、いつものように塾の教壇に立っていた私にEMPSから連絡がありました。希望条件に近い案件が見つかったのです。
私は授業が忙しくて動けなかったのですが、日程の調整などもコーディネーターさんが仲介してくださり、とてもスムーズに話が進みました。
正直「もっと早く転職してればよかった」と思いました。
給与も上がり、信頼できる仲間や上司にも恵まれたことで、今は毎日が充実しています。EMPSのサポートには心から感謝しています。(塾講師・28歳)
塾の正社員として採用された
夏期講習の短い任期が終わり、不慣れながらも講師という職業にやりがいを覚えはじめた私は、改めて紹介予定派遣の案件紹介をお願いしました。ここでもコーディネーターさんは私の希望を全面的に優先してくださり、給与面・環境面のなるべくよい職場を探してくれました。
新しく紹介された塾は、以前にEMPSから派遣された先輩スタッフが、現在は正社員として活躍している塾でした。それを聞いたとき、なんだか妙な安心感を感じました。
それでも一度失敗してる私は、慎重な姿勢を崩したくなかったので、予定通り紹介予定派遣として就業しました。
結果的に私の心配は杞憂に終わりました。その職場環境は私にピッタリ合ってたんです。
幸い、塾側にも私は必要とされたので、改めて塾の正社員として採用されました。
今では先輩とともに、毎日張りきって教壇に立っています。(社会人・25歳)
教員の転職は、免許や経験を活かせる職種がおすすめ
ここまで、教員が転職する際に注意すべきポイントや難しさ、教員免許が活かせるおすすめの転職先について解説してきました。転職を検討している教員の方は、今回ご紹介したポイントに注意しながら転職活動に臨んでみてはいかがでしょうか。
「EMPS(イーエムピーエス)」では、教育関係への転職を希望している皆さまを支援しています。2,000社以上のお取引先の中から、教師を目指す皆さまのご希望に沿ったお仕事の求人情報をご案内致します。お仕事のご紹介からお仕事決定後のフォローまで、ご利用いただくすべての皆さまに満足していただける万全の体制があります。
EMPS会員からの体験談では、「コーディネーターさんに色々と質問して、授業のコツを教わりました。」「コーディネーターさんは私の希望を全面的に優先してくださり、給与面・環境面のなるべくよい転職先を探してくれました。」などの口コミも。
気になる方はぜひ、無料登録してみてください。
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■参考文献
・文部科学省「平成28年度 学校教員統計調査」
・国税庁「平成30年分民間給与実態統計調査結果について」
・文部科学省「茨城県(保護者等への対応、対応マニュアルの作成及び検証)」